自民一党で単独過半数どころか60%超え、自民+公明で三分の二という前与党の大勝利に終わった2012年総選挙。だけど、自分の周りを眺めても、ここまで自民党支持者が多い印象はありませんよね。
それもそのはず、この
自民党歴史的大勝利は小選挙区制がもたらしたマジックという様相が強いからです。
ためしに、各党の得票数で単純に議席配分してみたのが上の図表です。自民党は過半数どころか179議席で40%にも届きません。
自公合わせても42.5%で過半数に届かず。これが本当の民意だったのです。
なぜ、こういうことになるのか。改めて考えてみましょう。
小選挙区制の場合、ひとつの選挙区で当選者は一人だけです。つまり、仮に一位になった人が28%得票、二位25%、三位24%、四位21%…といった有力候補乱立で接戦になった場合、地域の有権者のたった28%の支持でも当選できる反面、多くの票が死に票となってしまうのです。(比例に重複立候補してる場合は惜敗率に反映されますから、厳密には死に票ではありませんが。)
本来、小選挙区は二大政党を前提というか、意図的に二大政党制に持ち込むための選挙制度改革でした。それが今回は中小政党乱立という予定外の事態となったため、結果的に選挙結果が民意を反映しにくくなってしまったという側面があります。
もう少し、表中の数字を検証してみましょう。
公明党がひじょうに効率良く議席を獲得できたのは、自民との選挙協力が機能したことと支持母体の手堅さによるものと思われます。
共産党がいちばん割りを食ってるように見えるのは、ダメモトで各選挙区に候補者を立てているといった事情も影響しています。(なので、実際この図表に示したような議席配分が相応しいというつもりはありません)
ということで皆さん。こんなに民意と異なった結果を導き出してしまう選挙制度でほんとうに良いのでしょうか。たしかに前回は、この選挙制度が政権交代をもたらしたという功績もあるにはあります。しかし、無理やり構図だけ二大政党制を作ろうとしても、矛盾ばかりが目立ってしまい、三年間の民主党政権の失敗も案外その辺に理由があるように思えてならないのです。
追記:
下記コメント欄で、「この図表こそが『数字のマジック』では」という趣旨の指摘を頂きました。たしかに説明不足でした。図表の見出しも最後は『?』くらいにしておくべきだったと反省しています。
この図表に示した議席数が民意を正確に反映したものであると断定する意図はありません。あくまで、「計算方法次第ではこのようにもなる」という一例です。
上記文中で、共産党の数値は高めに出てるということを書いたつもりでしたがわかりにくかったですね。
比例も、『大地』は北海道ブロックだけですから単純比較はできません。
ただ、それでも実際の選挙結果よりはこの図表に示した議席数の方がまだ民意に近いのではないか、という想いは変わりません。反論もあるようですが、それについては考え方の違いということでご容赦ください。
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